東京高等裁判所 昭和28年(う)470号 判決
弁護人及び被告人本人の各控訴趣意は、いずれも、末尾添附各別紙記載のとおりであるから、これに対して、次のとおり判断する。
被告人本人の論旨中には、被告人が日本に滞在するようになつたのは、同人が許可を得て上陸中に、その乗組船が突如予定の期日を繰り上げて出港してしまつたためであつて、被告人としては、全く不可抗力により、日本に滞在するのやむなきに至つたものである旨の部分があるが、しかし、記録によれば、被告人は、上陸後、神戸市において飲酒泥酔し、且つ、売春婦を買わうとして同市に宿泊し、許可された制限時間内に帰船しなかつたため、遂に、その乗組船の出港に間に合わず、乗り後れたものであることが窺われるのであるから、不可抗力によつて本邦に入国したものであるとの所論は、これを採用することができない。